日本FinTech: 金利

前回は、アメリカの「融資」ベンチャー企業について書きましたが、この辺の詳細は結構ニュースでも取り上げられているので、すでに知っている方も多かったのでは。

では、この「融資」FinTechモデルは日本で成功するのでしょうか?日本でもソーシャルレンディング事業を展開している会社は数社ありますし、今後の業績動向は要チェックですね。日本FinTechに関して、政府や邦銀も大々的に推奨しているし、著名経営者・学者も時代が来たと熱く語っていますが、この「融資」ビジネスでは、違和感を覚える人も多いのではないですか?

私は2つ。 その①:

アメリカLending Clubの金利29%まで。Kabbageの金利(年換算)80%近くまで。日本は出資法上限金利が15%(100万以上の場合)。アメリカに関しては明確な上限金利を定めていないそうです。日本の上限金利は15%。。。何という差。この議論なくして、本当のFinTechは誕生するのでしょうか。

新たなFinTechベンチャー企業の育成・参入・成長という観点から、上限金利15%の前提で、「よしやってやろう!」と武者震いする起業家が果たして多くいるのでしょうか? 一見とても高い金利ではありますが、ベンチャー企業自体の資金調達コスト、システム開発費、人件費等を含めると、損益分岐点は融資残高を相当累積した先の話しになってしまいます。

そして決して忘れていけないのが、融資債権の貸倒コスト。この事業リスクを考慮すれば、結構厳しいビジネスモデルになります。年利15%で貸すのであれば、一定のリスクを抱えた事業である事を承知のうえ融資。企業が担保・保証をフルに提供出来るのであれば、もっと金利の低い邦銀、信金等から融資を受けられますが、そのような状況にある中小・中堅企業がどれだけあるのでしょう?


こうなると融資を受けたい中小・中堅企業は多くいるもの、それを提供する新たなベンチャーは育ち難いですよね。ここは市場の原理を働かせて、
→ 「高金利」だと理解しながらも融資を受けたい企業と、
→ 「貸倒リスク」が高いと理解しながらも融資を提供する企業
が合っても良いのでは。

その前提を踏まえて、
→ 高金利を上回る事業を作ろうという発想と、
→ テクノロジーを駆使して審査の精度を高めようという発想
が生まれ、良い相乗効果になるのでは?

まあ、元を正せば、日本で上限金利を改正した経緯はある程度理解できるもの、遡求的に請求できる事にしたのはおかしな話しですね。善意のある個人消費者を保護するという観点は良いのですが、法人向けの事業融資まで含めるのですから。1人悪い事をすると、残り99人も罰する。。。日本歴史上で連帯責任を負わせた五人組制度の発想ですかね。そのような土壌が残っているうちは、本当のFinTechイノベーションも難しいかな。いろいろと期待したいところです!